“BOB DYLAN” And HIS BAND In Show & Concert!


奇跡の瞬間を見逃すな。

 ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランがやって来る。しかも今回もボブの希望で日本限定のライブハウスツアー、東京と大阪の Zepp で14公演、スタンディング席が大半なので、興奮は高まるはずだ。間違いなく、世界中のファンが嫉妬する見逃すことのできない公演にな る。今回で9度目の来日ツアーであるが、いままで毎回ちがったステージを見せてくれている。78年の初来日は大編成のバンド、86年はト ム・ペティと組んで、ネヴァーエンディングツアーでは、94年、97年、2001年、10年、14年、16年と6回来日し、ロック、カントリー、フ ォーク、さらに多くのアメリカン・スタンダード曲をカバーするなど、じつに多彩なステージを見せてくれてきた。18年には1回のステージ だったが、フジロック・フェスティヴァルにも参加した。
ボブ・ディランはポピュラー・ミュージックの世界で、もっとも偉大なアーティストであることはだれもが認める。
600曲を超える歌をつくり、自作自演という新しいジャンルを生み出し、ロック・ミュージックを単なるエンターテインメントから現代を支えるひとつの文化へと変 えてきた。ディランを第一義的にシンガー・ソングライターとして評価する声は多い。だが、ディランの魅力/本質は自身で「ソング・アンド・ ダンス・マン」と表現したように、ライブ・パフォーマンスにある。過去にライブを観たことがある人は経験しているはずだ。レコードで変態。 していた曲が、ライブではまったくちがった歌に生まれ変わることもある。歌詞を変えたり、アレンジを変えたり、ディランは一箇所に立ち止 まっていない。過去のヒットのなかにただ留まっているようなアーティストが多いが、そうではない。まさにドント・ルック・バック。ディラン のクリエイティヴパワーは、78歳になった今も衰えを知らない。むしろ歌以外にも、絵画や彫刻などのアートにまで広がりを見せている。今 度の日本ツアーで、ディランがどのようなステージを見せてくれるのか、ぼくたちの期待と興奮、好奇心は高まるばかりだ。
33年目を迎えるネヴァーエンディング・ツアーは、毎年さまざまにスタイルを変えながら、年に100回近いコンサートを世界各地でおこ なってきた。これまでの日本ツアーはかならずその年のスタート地点に選ばれてきた。だから日本のファンは世界で一番早く新しいディラン を見ることができる。転がる石のように、つねに変化し続けるディランなので、予測できない何かが起きるかもしれない。
2019年10月11日に秋のアメリカ・ツアーがスタートしたが、夏までのツアーとは大きく変わった。まず、ボブのピアノがグランド・ピア ノからアップライト・ピアノに変わり、設置の向きも180度変わった。バックバンドも変わった。チャーリー・セクストン(ギター)、トニー・ ガーニエ(ベース)、ドニー・ヘロン(ペダルスティール、ヴァイオリン他)の3人に、新たにマット・チェンバーレイン(ドラム)、ボブ・ブリット(ギ ター)を加えた5人編成となった。オープニング曲は 2009年の作品「ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシング」(先頃他界したロバート・ハンターとの共作)。ボブは2年ぶりに1曲だけだったがギターを弾いて歌った。100分、19曲のセットリストには、60年代の曲から21世紀につ くられた曲まで、60年近くにおよぶキャリアのなかから様々な時代の作品が選ばれていた。8曲ほどステージ・センターで歌い、残りはピアノを弾きながら歌った。アンコールは「ロング・アンド・ウェイステッド・イヤーズ」と「悲しみは果てしなく」の2曲だった。さらにメンバー紹 介が復活し、ステージ後方に3体のマネキンが立っていた。想像を超える驚きの初日だった。
近年はセットリストが固定されていることが多いが、来年の日本ツアーはどうなるのだろう。おそらく19年秋のアメリカ・ツアーとはちが ったものになるだろう。あえて予測するなら、前回のツアーのセットリストで多く歌われたスタンダード曲のカバーは歌わない。代表曲はもち ろん、もしかしたらうわさされる新作、2012年の『テンペスト』以来のオリジナル新曲を聞けるかもしれない。もしかしたら日替わりで変わる かもしれない。とにかくディランの動きはだれにも予測できない。油断してはいけない。日本のステージで生まれる奇跡の瞬間を見逃すな。 今日のボブと明日のボブは違う。偉大なボブと同時代に生きるぼくたちは幸せ者だ。何度も見たい。
親密度が高まるライブハウスなので、ステージと客 席が一体となる。「ここで何かが起こっているのに/あ んたはそれが何なのかわからない/そうだろう、ミス ター・ジョーンズ」とボブは歌う。「あなたといっしょ にいられるのなら、わたしは何もかも投げ出してしま うよ」とも。その場にいなけれなならない理由がここ にある。心地よい刺激的な時間をボブ・ディランとい っしょに過ごしたい。Don’t You Dare Miss It! 何度 も見たい。

菅野ヘッケル

 

【日程・会場】

■東京:2020年4月1日(水)、2日(木)、4日(土)、5日(日)、6日(月)、17日(金)、19日(日)、20日(月)、21日(火)@Zepp DiverCity
 4月14日(火)、15日(水)@Zepp Tokyo

■大阪:4月8日(水)、9日(木)、10日(金)@Zepp Namba

【開場・開演】開場18:00 開演19:00 ※4日、5日、19日は 開場16:00 開演17:00

【料金】1Fスタンディング(入場整理番号付き)¥19,000   2F指定 ¥25,000(税込/ドリンク代別途)

【年齢制限】6歳未満(未就学児童)入場不可

主催:J-WAVE/TOKYO FM/InterFM897/FMヨコハマ/bayfm
制作:ウドー音楽事務所
後援:tvk
協力:ソニー・ミュージックレーベルズ
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999 udo.jp
※大阪公演の問い合わせは、大阪ウドー音楽事務所 06-6341-4506